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貨物海上保険とは?ICC(A)(C)の違いと中国輸入での掛け方

誰が・どの条件で・いつから掛けるかを決め、輸送中の損害に備える

中国から商品を輸入するとき、船や飛行機で運ばれている間に、貨物が濡れたり、破損したり、届かなかったりすることがあります。こうした輸送中の損害に備えるのが貨物海上保険です。しかし、仕入れ先との貿易条件によって誰が保険を掛けるのかが変わるため、「掛けているつもりで実は掛かっていなかった」という状況が起こりやすい分野でもあります。

この記事では、ジェトロや損害保険会社の資料をもとに、貨物海上保険の基本的な仕組みと、協会貨物約款のICC(A)(B)(C)の違いを整理します。そのうえで、中国輸入で保険を掛けるときの手順や、事故が起きたときの対応の流れを、輸入担当者向けに解説します。

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貨物海上保険の基本

貨物海上保険とは、輸出入の輸送中に貨物が受けた損害を補償する保険のことで、中国輸入では輸送中のリスクを荷主が引き受ける場面で必要になります。

まずは、運送会社の補償との違いと、保険金額・保険期間の考え方を押さえましょう。

運送会社の補償だけでは足りない理由

輸送中に貨物が壊れた場合、船会社や航空会社に損害賠償を請求できることがあります。ただし、運送人の責任は運送契約の約款で限定されていることが多く、天災など運送人に責任がない事故では賠償を受けられません。

そのため、荷主は自分のために貨物海上保険を掛けて、損害を保険で補う形が一般的です。ジェトロの解説では、外航貨物海上保険は輸出、輸入、三国間の貿易に使われ、海上輸送だけでなく航空貨物も対象になるとされています。名前に「海上」と付いていても、航空便で輸入する場合にも検討が必要です。

保険金額はCIF価格の110%が一般的

保険金額とは、損害が起きたときに支払われる保険金の上限のことです。一般的には、CIF価格(商品代金に運賃と保険料を加えた額)に10%を上乗せした、CIF価格の110%で設定します。上乗せ分は、貨物が無事に届いていれば得られたはずの利益(希望利益)を補う考え方です。

仕入れ先との取引がFOB(本船渡し)の場合は、商品代金に日本までの運賃と保険料を加えてCIF相当額を計算し、その110%を目安にします。保険料は保険会社ごとに自由に決められているため、継続して輸入する場合は複数社の見積もりを比べることもできます。

保険期間は「倉庫から倉庫」が原則

保険期間とは、保険の補償が続く期間のことです。現行の約款では、原則として、出荷地の倉庫で輸送のために貨物が最初に動かされた時から始まり、仕向地の荷受人の倉庫で荷卸しが終わった時に終わります。これを「倉庫から倉庫まで」と呼びます。

ただし、通常の輸送の流れにない保管のために倉庫を使った場合や、本船からの荷卸し後60日(航空貨物は30日)を過ぎた場合は、その時点で補償が終わります。また、FOBやCFRの条件で輸入者が保険を掛ける場合は、貨物が本船に積み込まれた時から補償が始まる点にも注意が必要です。

協会貨物約款ICC(A)(B)(C)の違い

協会貨物約款のICC(A)(B)(C)は補償範囲の広さが異なり、(A)が最も広く、(C)は火災や沈没などの大きな事故に限られます。

現在の標準は2009年版の約款ですが、取引によっては旧い約款が使われることもあるため、証券に記載された条件を確認しましょう。

ICC(C):大きな事故に限った最低限の補償

ICC(C)は、火災・爆発、船の座礁や沈没、衝突、共同海損など、輸送手段に大きな事故が起きた場合の損害を補償する条件です。ジェトロの解説では、最低限の補償と位置づけられています。

一方で、盗難や抜き荷、雨や結露による濡れ、取り扱い中の破損や凹みなどは補償されません。こうした損害は小口の雑貨や家電で起きやすいため、中国輸入で(C)だけを掛けていると、実際に起きた損害の多くが補償の対象外になることがあります。

ICC(B)とICC(A)で広がる範囲

ICC(B)は、(C)の範囲に加えて、地震・噴火・雷や、海水などが船や保管場所に入り込んだことによる損害などを補償します。ICC(A)は、(B)の範囲にさらに、雨や淡水による濡れ、盗難・抜き荷・不着、破損などの損害を加えた条件です。

ジェトロの解説では、実務ではほとんどの場合ICC(A)で保険を掛けるとされています。精密機器や壊れやすい商品、高額な商品では、(A)を基本に考えるとよいでしょう。旧約款の「A/R」「W.A.」「F.P.A.」は、それぞれおおむね(A)(B)(C)に対応します。

(A)でも補償されない損害と特約

ICC(A)でもすべての損害が補償されるわけではありません。主な対象外として、梱包の不十分さや積み付けの不良による損害、輸送の遅れによる損害、貨物そのものの性質や欠陥による損害、被保険者の故意による損害などがあります。

また、戦争やストライキによる損害は(A)でも補償されないため、必要に応じて協会戦争約款・協会ストライキ約款を特約として付けます。中国の工場で梱包が不十分だと保険金が支払われないことがあるため、出荷前の検品で梱包の状態も確認しておくことが大切です。

中国輸入で保険を掛ける手順

中国輸入で保険を掛けるときは、まず貿易条件で誰がどこから保険を掛けるのかを確定させ、補償条件と保険金額を決めてから、船積み前に申し込みます。

次の手順で進めると、付保漏れや条件の行き違いを防ぎやすくなります。

貿易条件で手配する人を確認する

保険を誰が掛けるかは、インコタームズ(貿易条件)で決まります。FOBやCFRで仕入れる場合は、輸入者が自分のために保険を掛けます。CIFで仕入れる場合は、売主である中国の仕入れ先が保険を手配します。

CIFで売主が掛ける保険は、最低限ICC(C)相当でよいとされています。そのため、CIFで取引する場合は、契約や発注書でICC(A)を指定するか、保険証券の写しを受け取って補償の条件と金額を確認しましょう。工場から出荷港までの国内輸送など、貿易条件によっては誰の保険でも補償されない区間が生じることがあるため、その区間のリスクも確認しておくと安心です。

予定保険から確定保険への流れ

輸入者が保険を掛ける場合、一般的な流れは次のとおりです。1. 船積み前に、商品名、数量、金額、輸送手段、出荷地と仕向地、補償条件を保険会社に伝え、予定保険を申し込みます。2. 船積み後、船名や船荷証券の番号、確定した金額などを通知して、確定保険に切り替えます。3. 保険証券や保険料の請求書を受け取り、輸入書類と一緒に保管します。

船積みの後に事故が起きてから保険を申し込んでも、補償は受けられません。仕入れ先の出荷予定が決まった段階で、保険の手配を済ませておくことが大切です。

継続して輸入するなら包括予定保険

包括予定保険とは、一定期間の輸入貨物について、あらかじめ保険会社とまとめて契約しておく方式のことです。船積みのたびに申し込む必要がなく、申し込みを忘れても契約の範囲内であれば補償の対象になるため、付保漏れを防げます。

毎月のように中国から輸入している場合や、複数の仕入れ先から少量ずつ輸入している場合は、包括予定保険を検討するとよいでしょう。対象とする貨物の種類や補償条件、通知の方法は契約ごとに決めるため、保険会社や代理店と相談して設定します。

事故が起きたときの対応

輸送中の事故が分かったら、貨物を受け取る時点で異常を記録し、速やかに保険会社と運送人の両方に通知することが基本です。

対応が遅れると、保険金の支払いや運送人への請求が難しくなることがあるため、手順を事前に決めておきましょう。

引取り時に異常を記録する

貨物を受け取るときは、外装の破れや濡れ、コンテナの損傷がないかを確認します。異常があれば、コンテナ単位の輸送では機器受渡証に、混載の輸送では貨物の引渡しの書類に、その内容を記載してもらいます。あわせて、外装や中身の状態を写真で残します。

ジェトロの解説では、これらの記録が、輸送中に損傷が起きたことを示す証拠になるとされています。倉庫や発送代行会社に荷受けを任せている場合は、異常があったときの記録と連絡の方法を、あらかじめ取り決めておきましょう。

保険会社と運送人に通知する

損傷が分かったら、遅滞なく保険会社または代理店に連絡します。必要に応じて、損害の状況や金額を調べる鑑定人(サーベイヤー)が手配されます。損傷した貨物は、鑑定が済むまで勝手に処分しないようにしましょう。

あわせて、船会社などの運送人にも事故通知を送ります。ジェトロの解説によると、船荷証券の約款では、事故通知は引渡し後3日以内に行うよう定められているとされています。保険会社は保険金を支払った後、運送人に損害を請求することがあるため、この通知は保険の手続きにとっても大切です。

請求に必要な書類をそろえる

保険金の請求には、一般に保険証券、インボイス、パッキングリスト、船荷証券(または航空運送状)の写し、損害の写真、鑑定書や修理見積書、運送人への事故通知の写しなどが必要になります。必要な書類は保険会社や事故の内容によって異なるため、連絡したときに確認しましょう。

普段から輸入ごとの書類を一か所にまとめて保管しておくと、事故のときに慌てずに済みます。通関書類と保険書類を同じ管理番号で整理しておく方法も有効です。

貨物海上保険は、中国輸入で輸送中の損害に備えるための基本的な仕組みです。補償範囲はICC(A)(B)(C)で異なり、実務ではICC(A)を基本に考えることが多いです。誰が保険を掛けるかは貿易条件で変わるため、仕入れ先との契約の段階で、手配する人、補償条件、保険金額を確認しておきましょう。

約款の内容や補償の条件は保険会社や契約によって異なるため、最新の情報は保険会社や代理店で確認してください。ECプランニングでは、中国現地工場との直接交渉を通じて、貿易条件や梱包の取り決めから、仕入れ後の検品・販売まで一貫して支援しています。

お問い合わせはこちらお電話:04-2000-2903

【Q&A】貨物海上保険に関するQ&A

Q1.貨物海上保険のICC(A)とICC(C)の違いは何ですか?

A.ICC(C)は火災や沈没、衝突など大きな事故による損害に補償が限られます。ICC(A)はそれに加えて、雨濡れ、盗難、破損なども補償する最も広い条件です。

Q2.中国からFOBで輸入する場合、保険は誰が掛けますか?

A.FOBやCFRでは、貨物が本船に積まれた後のリスクを輸入者が負うため、輸入者が自分で保険を掛けます。船積み前に保険会社へ予定保険を申し込んでおきましょう。

Q3.CIFで取引すれば保険の心配はいりませんか?

A.CIFでは売主が保険を手配しますが、最低限のICC(C)相当でよいとされています。補償条件と保険金額を契約で指定するか、保険証券の写しで確認することが大切です。

Q4.航空便で輸入する場合も貨物海上保険を掛けますか?

A.外航貨物海上保険は、航空便の貨物も対象にできます。名前に「海上」と付いていても、航空輸送のリスクに備える場合に使われます。

Q5.輸入した貨物が壊れていたら、まず何をすればよいですか?

A.受け取りの書類に異常を記載してもらい、写真を残したうえで、速やかに保険会社と運送人に連絡します。鑑定が済むまでは、損傷した貨物を処分しないようにしましょう。

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