
中国輸入の関税と消費税の計算方法|課税価格・簡易税率・端数処理の基本
中国輸入でかかる関税と輸入消費税の計算方法を、課税価格(CIF)の考え方、少額貨物の簡易税率、1万円以下の免税、端数処理の順に解説します。原価計算や価格設定の前…
通関書類を出荷前にそろえ、輸入申告から引取りまでを滞りなく進める
中国の工場や仕入れ先から商品を輸入するとき、貨物が日本に着いてもすぐに受け取れるわけではありません。税関に輸入申告を行い、審査を受けて関税と消費税を納め、輸入の許可を受けてはじめて、国内に引き取ることができます。この手続きを輸入通関といい、書類の不足や記載の食い違いがあると、貨物が港や空港で止まり、販売開始の遅れや保管料の増加につながります。
この記事では、中国輸入の通関で必要になる書類と、貨物の到着から引取りまでの流れを解説します。インボイスやパッキングリストなど基本書類の役割、税関検査や他法令の確認、通関を早める予備審査制、輸入後の書類の保存義務まで、輸入担当者が出荷前に準備しておきたいことを整理しました。
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中国輸入の通関とは、日本に到着した貨物について税関に輸入申告を行い、審査と納税を経て輸入の許可を受け、国内に引き取れる状態にする手続きのことです。
まずは、誰がどこに申告するのか、通関業者に任せられる範囲はどこまでかを押さえておきましょう。
税関の案内では、輸入申告は貨物を輸入しようとする者が行うとされています。ただし、財務大臣の許可を受けた通関業者に、申告の代理や代行を依頼することもできます。多くの企業は、フォワーダー(国際輸送の手配業者)や通関業者に申告を任せ、自社では書類の準備と内容の確認を担当しています。
申告を任せる場合でも、申告内容の責任は輸入者にあります。品名や数量、価格の誤りによって税額が不足していた場合は、修正申告や加算税の対象になることがあります。通関業者に渡す書類の内容が正しいかどうかを、輸入者側でも確認する体制を作っておくことが大切です。
保税地域とは、外国から到着した貨物を、輸入の手続きが終わるまで一時的に保管しておく場所のことです。港のコンテナヤードや空港の上屋、指定された倉庫などがこれにあたります。
輸入申告は、原則として貨物が置かれている保税地域を管轄する税関官署に対して行います。中国からの船便であれば到着港、航空便であれば到着空港の税関が申告先になるのが一般的です。保管場所によって申告先が変わるため、到着通知で搬入先を確認しておきます。
税関は申告を受けて書類審査を行い、必要に応じて貨物の検査をします。関税や消費税などの納付が確認されると輸入が許可され、貨物は国内の貨物(内国貨物)として扱われます。
輸入許可を受けた後は、自社倉庫や発送代行の倉庫へ配送できます。逆に言えば、許可が下りるまでは販売用の在庫として使えないため、販売開始日や広告の予定は、通関に必要な日数を見込んで組み立てる必要があります。
輸入通関に必要な書類の中心は、仕入書(インボイス)、包装明細書(パッキングリスト)、船荷証券(B/L)または航空貨物運送状(AWB)の3つで、これに運賃や保険料の明細、貨物によっては他法令の許可証などが加わります。
書類は中国側の仕入れ先が作るものが多いため、出荷前に内容をすり合わせておくことが、通関を滞りなく進めるための近道です。
仕入書(インボイス)とは、売り手が買い手に対して、商品の品名、数量、単価、合計金額、取引条件などを示す書類のことです。税関はインボイスをもとに課税価格を確認するため、通関書類の中でも最も重要な書類といえます。品名は「雑貨」のようなあいまいな書き方ではなく、材質や用途が分かる具体的な名称にしてもらいましょう。
包装明細書(パッキングリスト)とは、箱ごとの中身、数量、重量、容積を記載した書類のことです。税関検査で箱を開ける際の手がかりになるほか、倉庫での受け入れや検品にも使われます。インボイスとパッキングリストで数量や品名が食い違っていると確認に時間がかかるため、出荷前に両方を突き合わせておくことが大切です。
船荷証券(B/L)とは、船会社が貨物を受け取ったことを証明し、貨物の引渡しを受ける権利を表す書類のことです。航空便の場合は、航空貨物運送状(AWB)が同じ役割を持ちます。輸入申告では、これらの写しなどを提出します。
船便では、到着後に船会社やフォワーダーへ費用を支払い、貨物の引渡しを指示するD/O(デリバリーオーダー)を受け取る流れが一般的です。B/Lの原本が必要な取引か、元地回収(サレンダー)扱いかによって手配が変わるため、仕入れ先やフォワーダーと事前に確認しておきましょう。
税関の案内では、インボイス、パッキングリスト、B/Lのほかに、運賃明細書、保険料明細書、契約書、価格表なども、輸入申告の際の提出書類として挙げられています。日本の関税は、貨物の価格に日本までの運賃と保険料を加えた額(CIF価格)をもとに計算されるため、運賃や保険料を確認できる書類が必要になります。
FOBなど、運賃を輸入者側で手配する取引条件の場合は、フォワーダーからの請求書が運賃の根拠になります。また、税関から追加の資料を求められることもあるため、商品の仕様書やカタログ、写真などをすぐに出せるようにしておくと、審査がスムーズに進みます。
特恵関税や経済連携協定(EPA)の税率を使って関税を下げる場合は、原産地を証明する書類が必要です。中国からの輸入では、RCEP協定の税率を適用できる品目があり、その場合は原産地証明書や原産品申告書を準備します。対象品目や手続きは協定ごとに異なるため、税関や通関業者に確認してください。
また、食品や食品に触れる器具、化粧品、植物などは、関税関係以外の法令(他法令)による許可や承認、届出が必要です。これらの書類は輸入申告の時点で税関に示す必要があるため、商品を発注する段階で、該当する法令があるかどうかを調べておきます。
輸入通関は、到着通知の受領、書類の準備、輸入申告、審査・検査、納税、輸入許可、貨物の引取りという順番で進みます。
それぞれの段階で何を確認すればよいかを、実務の流れに沿って見ていきます。
1. 貨物が日本に到着すると、船会社、航空会社、またはフォワーダーから到着通知(Arrival Notice)が届きます。到着日、搬入先の保税地域、支払う費用を確認します。
2. 仕入れ先から受け取ったインボイスとパッキングリストに、B/LまたはAWB、運賃や保険料の明細を合わせて、通関業者に渡します。
3. 通関業者が書類をもとに品目番号(HSコード)と税率を確認し、輸入申告書を作成して税関に申告します。現在、多くの申告は輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)を使って電子的に行われています。
税関は申告書と書類の内容を審査し、必要に応じて貨物の検査を行います。税関の案内によると、検査では申告内容と現品が一致しているか、輸入が禁止された物品や知的財産を侵害する物品が含まれていないか、他法令の許可を受けているか、原産地を偽る表示がないか、適正な納税申告がされているかが確認されます。
検査の対象になると、貨物を検査場所へ運ぶ費用や、開梱・再梱包の作業費は輸入者側の負担になります。また、その分だけ引取りが遅れます。ブランド品に似たロゴや、原産地を誤認させる表示がある商品は、検査で止まる原因になりやすいため、発注前の仕様確認が重要です。
審査が終わると、関税と輸入消費税(消費税・地方消費税)の額が確定し、輸入者が納付します。通関業者を通す場合は、通関業者が立て替えて後日請求する形や、輸入者の口座から引き落とす形などがあります。
税関が納付を確認すると、輸入許可が出ます。輸入許可書と、船便であればD/Oを保税地域の担当者に示すと、貨物を引き取れます。その後、国内の配送業者が自社倉庫や発送代行の倉庫へ運び、検品と入庫を経て販売できる状態になります。
予備審査制とは、貨物が到着する前に輸入申告の書類を税関に提出し、審査を先に受けられる制度のことです。税関の案内では、貨物のB/LやAWBが発行された日と、申告予定日の外国為替相場が公示された日のいずれか遅い日以後に、予備申告ができるとされています。
予備審査制を使うと、書類審査が到着前に済み、原則として本申告の前に「検査」「書類審査」「簡易審査」のいずれの扱いになるかが通知されます。検査の有無が早く分かるため、倉庫の受け入れや販売開始の予定を立てやすくなります。急ぎの貨物がある場合は、通関業者に予備申告の対応を相談するとよいでしょう。
通関でつまずかないためには、発注の段階で他法令の有無と書類の記載内容を確認し、輸入後も書類を決められた期間保存することが大切です。
よくあるつまずきと、その防ぎ方を整理します。
関税法では、他法令で許可や承認が必要な貨物は、その手続きを済ませたことを税関に示さなければ、輸入が許可されないとされています。税関の案内では、食品衛生法(食品、添加物、器具、容器包装、おもちゃなど)、医薬品医療機器等法(化粧品、医療機器など)、植物防疫法などが、税関で確認する主な他法令として挙げられています。
税関は、特定の商品に他法令が該当するかどうかの判断は行わず、所管省庁に確認するよう案内しています。また、電気用品安全法のように、税関の確認とは別に、輸入事業者として販売前の届出や表示が求められる法令もあります。規制の内容は改正されることがあるため、最新情報は所管官庁で確認してください。
通関が止まる原因として多いのが、インボイスの品名が具体的でない、インボイスとパッキングリストで数量が合わない、実際の取引価格と異なる金額が記載されている、といった書類の問題です。特に、関税を下げる目的で実際より低い価格を記載することは、過少申告として加算税の対象になるおそれがあります。
防ぐためには、仕入れ先にインボイスの記載項目をあらかじめ伝え、出荷前に下書きを受け取って確認する流れを作るのが効果的です。新しい商品を扱う際は、通関業者にHSコードと税率の見立てを事前に確認しておくと、到着後の手戻りを減らせます。
業として輸入を行う輸入者には、帳簿と書類を保存する義務があります。税関の案内では、品名、数量、価格、仕出人の氏名、輸入許可の年月日と番号などを記載した帳簿は、輸入許可の翌日から7年間、契約書やインボイス、運賃・保険料の明細書、パッキングリストなどの書類は5年間の保存が求められています(2026年10月時点)。
電子メールやインターネットでやり取りした取引情報も、電磁的記録として保存の対象になります。輸入許可書の番号で書類を探せるように、案件ごとにフォルダを分けて整理しておくと、税関の事後調査があった場合にも落ち着いて対応できます。
中国輸入の通関は、到着通知の受領から輸入申告、審査・検査、納税、輸入許可、貨物の引取りという流れで進みます。インボイス、パッキングリスト、B/LまたはAWBを中心に、運賃や保険料の明細、必要に応じて原産地証明書や他法令の書類をそろえ、発注前に規制の有無を確認しておくことで、到着後に貨物が止まるリスクを減らせます。予備審査制や書類の保存義務もあわせて押さえ、販売計画に通関の日数を組み込んでおきましょう。
ECプランニングは、中国輸入代行や中国OEM製造支援を通じて、中国現地工場との直接交渉から仕入れ、日本での販売・運営まで一貫して支援しています。書類の準備や仕入れ先とのやり取り、輸入後の在庫管理まで、現場のオペレーションを自ら手を動かして進めます。中国輸入の手続きや進め方に不安がある方は、お気軽にご相談ください。
A.基本となるのは、仕入書(インボイス)、包装明細書(パッキングリスト)、船荷証券(B/L)または航空貨物運送状(AWB)です。これに運賃明細書や保険料明細書が加わり、関税の優遇を受ける場合は原産地証明書、規制のある商品は他法令の許可・承認書類が必要になります。
A.輸入者自身が税関に輸入申告を行うことは可能です。ただし、品目分類や書類作成に専門知識が必要なため、通関業者に代理を依頼する企業が多く、その場合も申告内容の責任は輸入者にあります。
A.書類がそろい、簡易審査で済めば短期間で許可が出ることもありますが、書類審査や税関検査の対象になると日数が延びます。予備審査制を使って到着前に書類審査を受けておくと、引取りまでの時間を短縮しやすくなります。
A.実際の取引価格より低い金額で申告して税額が不足した場合、修正申告や過少申告加算税の対象になるおそれがあります。インボイスには実際の取引価格を正しく記載してもらいましょう。
A.業として輸入する輸入者は、税関の案内では、帳簿を輸入許可の翌日から7年間、インボイスや契約書などの書類を5年間保存する必要があります(2026年10月時点)。電子メールなどで受け取った取引情報も保存の対象です。