
特定商取引法に基づく表記の書き方|ネットショップの必須項目と最終確認画面
ネットショップの「特定商取引法に基づく表記」の書き方を解説します。事業者名・住所・電話番号、販売価格と送料、支払時期と方法、引渡時期、返品特約など広告に必要な表…
定期購入の条件と解約方法を、申込み前の画面でひと目で分かるように示す
化粧品や健康食品、食品などで定期購入(定期便)を販売するネットショップは多く、継続して購入してもらえる仕組みとして運営の柱になることがあります。一方で、国民生活センターによると、通信販売の定期購入に関する相談は2025年度に9万件を超えており、「1回だけのつもりが定期購入だった」「解約の連絡がつかない」といった相談が続いています。
この記事では、定期購入を扱うネットショップの運営担当者に向けて、特定商取引法で求められる最終確認画面の表示、誤認させる表示として問題になりやすい例、解約方法の書き方と受付体制、表示を見直す手順を整理します。法律の細かな解釈ではなく、自社の申込み画面を点検するための実務の目安としてお使いください。
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定期購入の通販では、申込みの直前の画面で、継続する契約であることと支払の総額、解約の条件が分かるように示すことが法律で求められています。
まずは定期購入の意味と、ルールが整備された背景を確認しましょう。
定期購入とは、一度申し込むと、決まった周期で商品が届き、そのたびに代金を支払う契約のことです。回数が決まっている「回数縛り」の契約と、解約するまで続く無期限の契約があり、初回だけ安い価格を設定する販売方法もよく使われます。
定期購入そのものは問題のある販売方法ではありません。ただし、通信販売にはクーリング・オフ制度がなく、解約や返品の条件は事業者が定める特約に従うため、申込みの時点で条件が正しく伝わっていないと、購入者とのトラブルにつながります。
国民生活センターの集計では、通信販売の定期購入に関する相談は、2023年度が80,315件、2024年度が89,401件、2025年度が93,065件と増えています(2026年7月時点の集計)。SNS広告をきっかけに1回限りと思って注文したら定期購入だった、という相談が典型的なものとして挙げられています。
こうした状況を受けて、2022年6月1日に改正特定商取引法が施行され、通信販売の最終確認画面での表示義務(第12条の6)が設けられました。あわせて消費者庁は「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」を公表し、望ましい画面と望ましくない画面の例を示しています。
最終確認画面の表示義務に違反した場合や、人を誤認させる表示をした場合は、行政処分である指示や業務停止命令などの対象になり、悪質な場合は罰則もあります。
また、表示の違反によって購入者が誤認して申し込んだ場合、購入者はその申込みを取り消すことができます(第15条の4)。取消しが認められると代金を返す必要が生じるため、表示の不備は売上と信用の両方に影響します。
最終確認画面には、分量、代金と総額、支払と引渡しの時期、申込みの期間、撤回と解約の条件を、購入者がひと目で分かるようにまとめて表示します。
定期購入では、単発の注文よりも示し方に注意が必要な項目があります。
最終確認画面とは、購入者が申込みボタンを押す直前に、注文の内容を確認する画面のことです。カートの「注文内容の確認」画面がこれに当たります。
広告や商品ページにだけ条件を書いても、最終確認画面で一覧にして示さなければ義務を満たさないとされています。ガイドラインでは、別のページを参照させる方法も認められていますが、参照先で購入者が必要な事項を簡単に確認できることが前提です。
定期購入の分量は、各回に届く数量、届く回数、契約全体での総量を示します。自動で更新される契約であれば、その旨も記載します。
代金は、各回の金額と支払う総額を示し、初回と2回目以降で金額が変わる場合はその旨と金額を明記します。解約するまで続く無期限の契約では、1年分などの支払額を目安として示すことが望ましいとされています。送料は、実際に購入者が負担する金額を示しましょう。
支払の時期と方法、商品の引渡し時期は、各回ごとに分かるように示します。期間限定の価格などで申込みに期限がある場合は、「今だけ」のようなあいまいな言葉ではなく、具体的な期限と内容を示します。
申込みの撤回や解約については、条件、方法、効果を示します。たとえば「次回お届け日の〇日前までに連絡」といった申出の期限や、所定の回数より前に解約する場合の違約金や差額の請求があれば、その内容も記載します。
「お試し」「初回無料」「いつでも解約可能」などの言葉を強調し、定期購入であることや解約条件を目立たなくする表示は、誤認させる表示と判断されるおそれがあります。
解約の受付方法を制限する場合の書き方とあわせて確認します。
ガイドラインでは、「お試し」「トライアル」などを強調すると、購入者が試しに1回だけ買える契約や、簡単に解約できる契約だと受け取るおそれがあるとしています。実際には定期購入であったり、解約に条件があったりする場合は、誤認させる表示に当たるおそれが強いとされています。
これらの言葉を使うこと自体が直ちに違反になるわけではありません。定期購入であることや総額、解約条件を、初回の価格と同じくらい目立つ形で、申込みボタンの近くに示すことが大切です。
ガイドラインでは、望ましくない例として、ボタンの文言が「送信する」だけで申込みになることが分からない画面、「初回無料」を強調して有償の契約であることを離れた場所に書いている画面、料金などの条件を申込みボタンの下に置いている画面が示されています。
このほか、「いつでも解約可能」と強調しながら解約条件を別の場所に書く表示や、購入者が操作しない限り定期購入が選ばれた状態になっている設定も、望ましくない例として挙げられています。自社の画面にこうした作りがないか点検しましょう。
解約の方法は、リンク先のページで示すことも認められていますが、受付を特定の手段に限る場合、受付時間を限る場合、申込みに使った手段と比べて手続きが難しい場合は、最終確認画面にも明確に表示する必要があるとされています。
電話で解約を受け付ける場合は、実際につながる番号を記載することが求められます。注文はネットで簡単にできるのに、解約は電話のみで時間も短いという体制は、表示の問題だけでなく問い合わせの増加にもつながるため、マイページやフォームからも手続きできるようにしておくと運用も安定します。
表示の見直しは、広告から申込み完了までの画面を購入者の目線でたどり、条件が申込みボタンの近くでひと目で分かるかを確認する作業です。
ECモールに出店している場合の考え方と、今後の制度の動きもあわせて整理します。
1. SNS広告、ランディングページ、商品ページ、カート、最終確認画面、注文完了メールまでの流れを、実際に購入者が操作する順に画面を保存します。2. 最終確認画面に、分量、各回の代金と総額、支払と引渡しの時期、申込みの期間、撤回と解約の条件がそろっているかを確認します。3. 初回価格や「お試し」の文言だけが目立っていないか、スマートフォンの画面で確認します。4. 解約の窓口に実際に連絡し、案内どおりに手続きできるかを確かめます。5. 直した内容と日付を記録し、価格や条件を変えるたびに同じ点検を行います。
特に、広告と最終確認画面の条件が食い違っていないかは、担当者が分かれていると見落としやすい点です。広告の制作を外部に任せている場合も、出稿前に条件の表記を確認する流れを作っておきましょう。
楽天市場やYahoo!ショッピングなどのモールでは、カートや確認画面の仕組みはモールが用意しますが、商品ページに書く条件や、定期購入の設定内容はショップが決めます。モールの定期購入機能を使う場合も、商品ページの表記と設定した条件が一致しているかを確認しましょう。
モールごとに定期購入の機能や表示のルールが定められていることがあるため、各モールのガイドラインもあわせて確認してください。自社サイトとモールで条件が異なる場合は、それぞれの画面で正しく示されているかを個別に点検します。
消費者庁は2026年1月に「デジタル取引・特定商取引法等検討会」を設け、インターネット上の表示や画面の作りに関する規律の具体化などを議論しています。定期購入の解約をめぐる相談も論点として取り上げられています。
2026年11月時点では、改正の具体的な内容や時期は決まっていません。今後ルールが追加される可能性があるため、最新情報は消費者庁の公表資料で確認し、表示の判断に迷う場合は専門家に相談してください。
定期購入の通販では、継続する契約であること、各回の代金と総額、支払と引渡しの時期、申込みの期間、解約の条件と方法を、最終確認画面で申込みボタンの近くにまとめて示すことが基本です。「お試し」や初回価格だけを目立たせず、解約の窓口は実際に使える形で用意しておくことが、トラブルと問い合わせを減らし、長く続けてもらえる定期購入につながります。
表示の内容は、価格や条件を変えるたびに見直しが必要です。法令の最新情報は消費者庁など所管官庁で確認し、個別の判断は専門家に相談してください。ECプランニングでは、10社以上の運営代行実績をもとに、商品ページやカート周りの点検から日々の受注・問い合わせ対応まで、提案だけでなく自ら手を動かして現場のオペレーションを回す形でEC運営を支援しています。
A.分量(各回の数量と回数)、各回の代金と総額、支払の時期と方法、引渡しの時期、申込みの期間、申込みの撤回や解約の条件を表示します。購入者がひと目で分かるよう、申込みボタンの近くにまとめて示すことが求められます。
A.言葉を使うこと自体が直ちに違反になるわけではありません。定期購入であることや総額、解約条件が分かりにくくなるほど「お試し」だけを強調すると、誤認させる表示と判断されるおそれがあります。
A.受付の手段を限る場合は、その旨を最終確認画面にも明確に表示する必要があります。電話で受け付けるなら実際につながる番号を記載し、申込みと比べて手続きが極端に難しくならないよう体制を整えることが大切です。
A.通信販売にはクーリング・オフ制度がなく、解約や返品は事業者が定める特約に従います。ただし、表示の違反で購入者が誤認して申し込んだ場合は、購入者が申込みを取り消せることがあります。
A.消費者庁のガイドラインでは、解約するまで続く契約については、1年分などの支払額を目安として示すことが望ましいとされています。各回の金額が変わる場合は、その旨と金額もあわせて示します。